マウスピース矯正ができない歯並びとは?症例と対処法を解説
2025/05/20

こんにちは。代々木の歯医者、代々木クリスタル歯科医院です。
マウスピース矯正は、矯正治療を検討するうえで多くの方がハードルとして感じる「装置の見た目」や「取り外しができないこと」などの問題を解消することのできる治療法です。
しかし、マウスピース矯正はすべての不正歯列に対応できるわけではありません。
マウスピース矯正には適応範囲があり、合わない場合はワイヤー矯正などのほかの方法を検討する必要があります。
マウスピース矯正ができない歯並びや症例、それに対処するための方法を解説します。
マウスピース矯正とは

マウスピース矯正は、患者さんごとにカスタムメイドされた透明なプラスチック製のマウスピースを利用して、少しずつ歯を所定の位置へ誘導する矯正法です。
この矯正装置の利点は、目立ちにくく、取り外しができることです。
食事や歯磨きの際にマウスピースを外すことができ、金属製のブラケットに比べて日常生活の制約が少ないというメリットがあります。
また、金属アレルギーの心配もなく、歯にフィットする薄い素材のため装着時の違和感が少ないこともメリットです。
マウスピース矯正の治療の流れは、まず患者さんの歯や口腔内の状態を詳細に確認し、それをもとに3Dスキャンなどでデジタルモデルを作成します。
このモデルをもとにマウスピースセットを作成したら、矯正治療のスタートです。
マウスピースの装着時間は1日20時間以上が基本となっており、約1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換することで矯正を進めていきます。
マウスピース矯正ができない歯並び
重度の出っ歯

出っ歯(上顎前突)は、上顎の歯が過度に前方へ突き出している状態です。
主な原因として舌の使い方や指しゃぶりといった幼少時からの悪習慣があり、こういった後天的要因の場合には、基本的に生活の改善とともにマウスピース矯正をすることで歯並びの改善が可能です。
一方で、あごの骨格異常によるものなど先天的な要因の場合には、マウスピース矯正だけでは対処が難しく、外科的な処置が必要となることもあります。
重度の受け口

受け口(反対咬合)は、下顎が上顎よりも前に出ている状態のことを指します。
この状態はあごの骨格の異常に起因することが多く、重度の受け口で骨格自体の調整が必要な場合にはマウスピース矯正だけでは対応ができません。
このような場合には外科手術などを併用する治療法が検討されます。
重度の叢生

叢生は、あごのスペース不足により歯が押し合わさり、デコボコになっている状態です。
重度の場合、歯をきれいに並べるためには大きな移動が必要となるため、大幅な歯の移動を伴う治療に適していないマウスピース矯正では対応が困難です。
ワイヤー矯正は、こうした大きな移動にも対応が可能です。
開咬

開咬は、上下の歯がかみ合わないことで前歯にすき間ができてしまう状態です。
開咬の矯正では歯の傾きを変えたり、位置を調整したりする必要があり、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正が向いているとされています。
医療技術の進歩により一部の症例ではマウスピース矯正でも対応が可能になってきていますが、矯正治療を専門とする歯科医師による細かい診断と調整が必要です。
そのほかの重度の歯列不正
前述した不正咬合以外にも、マウスピース矯正が適さないケースがあります。
例えば、あごの位置調整や広範囲にわたる歯列の移動が求められる場合、複数の要因が絡み合った複雑な歯列不正などの場合には、マウスピース矯正では適さない可能性があり、ほかの矯正手段を検討する必要があります。
マウスピース矯正ができない歯並び以外の問題
重度の歯周病

歯周病は、歯を支えている骨を溶かしてしまう病気のため、歯周病が進行している状態での矯正治療には歯の動揺や脱落といったリスクが伴います。
また、マウスピースを装着していることにより歯周病菌が蓄積するリスクもあります。
そのため、歯周病の方が矯正治療をする場合には、まずは歯周病の治療を優先する必要があります。
インプラント治療をしている

インプラントは天然の歯とは異なり、矯正治療によって動かすことができない、あごに固定された人工歯です。
そのため、矯正治療によって全体的な歯並びの調整を行う場合、インプラントの数や位置が妨げとなる場合があります。
特に、多数のインプラントを埋入している場合には矯正治療が困難となることが多いため、セラミック矯正やほかの審美治療も選択肢に入れる必要があります。
埋伏歯がある

埋伏歯とは、歯が正常に生えずにあごの骨内に埋もれている状態です。
マウスピース矯正では、埋伏した歯を移動させることは難しいため、通常はワイヤー矯正を用いて埋まっている歯を牽引する治療法が選択されます。
歯ぐきの切開や歯の位置を固定するための器具が必要になることもあります。
自己管理ができない
マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着が必要であり、装着時間や取り扱いの仕方が治療の経過に直結する治療法です。
歯科医師の指示通りに管理することに自信がない方には、ワイヤー矯正のほうがよい場合もあります。
マウスピース矯正ができない場合の対処法
ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯の表面に装着したブラケットとワイヤーによって力を加えて歯を動かす方法であり、マウスピース矯正よりも広範囲の症例に対応できます。
見た目が目立つというデメリットがあるものの、裏側矯正を選択すれば、人目を気にせず治療できます。
歯の大幅な移動や複雑なかみ合わせの調整に向いており、重度の症例には特に適しています。
外科手術

骨格の異常によって受け口や出っ歯といった歯列不正が起こっている場合、あごの位置や形状を調整するために外科的処置を行います。
手術後には、ワイヤー矯正によりさらに細かい調整を行うことが一般的です。
セラミック矯正

セラミック矯正は、歯を削ってセラミック製のかぶせ物をすることで歯の見た目を整える治療法です。
歯並びの乱れが軽度の場合や審美性を重視したい場合に向いており短期間で見た目を改善できますが、健康な歯を削る必要があります。
まとめ
マウスピース矯正はメリットの多い治療法ですが、すべての症例に利用できるわけではありません。
重度の歯列不正がある場合などは、ワイヤー矯正や外科手術、セラミック矯正など、ほかの治療法の検討が必要な場合もあります。
自分の歯並びや生活スタイルに合った治療法を選択するために、総合的な視点で治療法を選択するようにしましょう。
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